福島歯科医師会 | 歯とお口のQ&A

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歯とお口のQ&A

むし歯に関するQ&A

  • 歯に穴があいているのですが痛くありません。治さなけれぱいけないのでしょうか?
    • むし歯は、本来痛みのない病気です。ご存じかとは思いますが、むし歯は、お口の中の細菌が、糖質などを栄養として増殖し、ゆっくりと歯を溶かしていく慢性疾患です(注l)。

      むし歯で、歯が痛むのはごく一時期だけで、神経の近くまで進行すれぱ、しみる症状、神経が化膿すればズキズキと痛みます。このように症状が出た時は、多くの場合、炎症を起こした神経を取り除くことが必要となります。

      神経を除去する処置をきちんと受ければ、とりあえず歯自体を失うはめにはなりませんが、神経がなくなった歯の場合、何年か後にむし歯が再度発生しても今度は痛みのサイン(注2)を体は発してくれなくなります。むし歯は静かに進行し、歯の大部分が犯されて、かぶせてある冠や、つめものがはずれるまで気がつかない状態となってしまうのです。状況によっては、手遅れのため歯を失うはめにもなりかねません。

      神経がきちんと残る状態で治療するためには、自覚症状のない早期の内に受診することが肝要ですから、穴を目覚できるのであれば、ただちに診察を受ける必要があるでしょう。

      注1:慢性疾患とは、徐々に体が犯されていく病気のことで、体質や生活習慣が病気の成り立ちに係わっていることが多く、また、ある程度重症になるまで自覚症状が少ないのが特徴です。

      注2:神経がない歯でも、根の先に膿を持ってしまった場合や歯周病になってしまった場合には痛みを生じるがあります。

  • どうしてむし歯はできるのですか?
    •  私たちの歯の表面は、エナメル質という組織で出来ており、身体の中で一番硬い部分ですが、どうしてむし歯になって穴があいてしまうのか不思議ですね。

      お口の中には、だれでもたくさんの細菌が棲んでいます。その中のストレプトコッカス・ミュータンスと呼ばれる細菌は、食物として摂取された砂糖などの糖分を分解して、ネバネバとしたデキストランという物質をつくり、歯の表面にぬめった膜のような形で付着しながら、細菌自身が増殖しやすい環境を作り出します。これが歯垢(しこう)、プラークと呼ばれるものです。

      プラークは、露出した歯の表面ならばどこでも付着しますが、特に奥歯の噛む面の溝や、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目などの部位にたまり易く、いったん付着するとうがいぐらいでは簡単にはとれないことが特徴です。放っておけば、どんどん成長して歯の表面に溜っていってしまいます。

      そして、プラークの中の細菌は、私たちが食べた食べ物、飲み物の中の糖分を利用して、乳酸などの酸をつくり、これにより次第に歯の表面は溶かされていきます。
      溶けた歯の内部にはプラークが入り込み、さらに内部の歯を溶かすいうことが繰り返されるようになります。

      むし歯の発生しやすさや進行速度は、その人のお口の中にしめるミュータンス菌などの量、唾液の性質、食生活、歯の強さ(生えたての歯は弱い)、歯磨きの仕方など様々な要因によって、ひとりひとり異なるということは,知っておかれたほうが良いとおもわれます。

      ●むし歯になるまでの経過

      1)ミュータンス菌という細菌と砂糖が結びつく。

      2)歯につきやすいネバネバしたデキストランという物質がつくられる。

      3)デキストランは、多数の細菌を歯の表面に付着させ、プラークがつくられる。

      4)プラークの中で酸がつくられる。

      5)酸は、歯の表面のエナメル質をも、溶かしてしまう。

      6)むし歯の発生。

  • 歯の構造とむし歯の進行について教えてください。
    • 歯は目で見える歯冠という部分と、歯ぐき(歯肉)の中に埋まっている歯根という部分があります。

      その内部は、図のように三層構造になっています。歯冠の表面はエナメル質といって人間の身体の中でもっとも硬くできています。その中に象牙質といって骨と同じぐらいの硬さの部分があり、歯の中心部には歯髄(俗にいう歯の神経)とよばれる空間があり、ここは神経組織や血管などの柔らかい組織で構成されています。

      歯根の表面は、セメント質と呼ばれる象牙質よりもやや柔らかい層で覆われ、その内部は歯冠と同様に象牙質、そして歯髄があります。

  • 歯の神経をとると言われたのですがどんなことをするのですか?
    • 虫歯が深くまで進行して歯の中の神経まで到達すると冷たいものや熱いものがしみたり、何もしなくても痛みを感じるようになります。
      ここまで虫歯が進行してしまって治療しても回復するのは不可能と歯科医が判断した場合には止む無く神経を取らなければなりません。
      まず麻酔をして痛みを感じなくした後 歯の一部部分に穴を開けそこから リーマーと呼ばれるギザギザの付いた針を差し込み神経を掻き出します。
      治療後に麻酔が切れると若干の痛みが出る場合があります。
      また数日間は噛んだり、強く舌などで押すと鈍い痛みが残る場合もありますので、治療中の歯ではあまり噛まないようにしましょう。
      神経を抜いた後にまたばい菌などが入り込まないように根充剤と呼ばれる薬で蓋をします。
      治療後には痛みも消えて普段どおりに噛めるようになりますが、この時点では強く噛むと歯が割れたり虫歯になりやすい状態ですので最後まで治療を終了するようにしましょう。
      また神経を取った歯は、虫歯になっても痛みを感じませんのでかならず定期検査を受けるようにしましょう。

予防

  • 夜、お酒を飲んでそのまま寝てしまうことが多く、歯を磨けません。どうしたらよいでしょうか?
    • むし歯も、歯周病も、唾彼の分泌の低下する夜間に進行しやすいため、就寝前の歯磨きは欠かせません。たとえぱ、お酒を飲む前に歯を磨いて、つまみは食べないという方法もありますが、胃腸に対してはどうでしょうか?

      基本的には、飲酒後でも就寝前の歯磨きぐらいは可能な飲み方におさえるように心掛けることが大事なのではと考えられます。

      好ましくない生活週間が原因によって生じる病気を、生活習慣病と申しますがこれにならぬようにするためには、当たり前のことですが「生活を改善すること」が原則となります。

      歯以外の余病をおこさぬためにも、お酒に飲まれぬよう、百薬の長として上手な付き合い方を心掛けてください!

  • フッ素とはどの様なものですか?
    • フッ素は、自然の中に広く全布している元素です。

      ちょっと難しい話になりますが、ハロゲン族の4元素(フッ素.塩素.ヨウ素.臭素)の中で最も軽い元素です。元素単独では存在せず蛍石.水晶石.リン鉱石)などとして存在します。

      地中はもとより、海水、河川水、植物、動物などの全てに微量ながら、含まれており、私たちが食ぺたり、飲んだりするものの中にも、量は異なるものの、必ずと言っていいほど含まれています。

      このフッ素のような物質を自然環境物質と呼んでいます。

  • フッ素による虫歯予防はいつ頃始まったのですか?
    • 私たちが使っている飲み水の中にも、微量ながらフッ素が含まれていますが、天然に微量(1ppm)のフッ素を含んだ水を飲料水として使っていた人たちがむし歯が少なかったという事実の発見から、フッ素によるむし歯予防が始まりました。

      20世紀の初めにアメリカで、同じ水道の水を飲んでいる地域の人々に集団的に発生する斑状歯(白い斑点や白濁などの縞模様を有する歯)が発見されました。

      その原因は、飲科水中に含まれるフッ素のためでした。また、同時にこれらの地域では、ほかの地城に比ぺてむし歯が少ないという事実も発見されました。

      さらに、この飲料水中のフッ素とむし歯の関係についての広範な調査がすすめられていくうちに、自然の状態で飲料水中に微量のフッ素が含まれでいる地域では斑状歯の発生もなく、かつ高いむし歯予防効果が得られている事がわかりました。

      これらの地域住民の健康状態も様々な角度から検討されましたが、適量のフッ素は人体になんら悪影警を及ばす事なく、むし歯予防にとってきわめて有効に働くことが確認されたのです。

      その後、1945年アメリカの3都市とカナダ1都市で、飲料水中のフッ素を運量にコントロ-ルしてむし歯予防を行う水道水フッ素添加が実施されたのです。

      この飲料水中のフッ素のむし歯予防効果に学んで、フッ素を直接、歯に作用させようとするフッ素洗ロ、フッ素塗布、フッ素入り歯磨剤などのフッ化物の局所応用が考え出され、わが国でも広く利用されるようになったのです。

  • 公害のフッ素と虫歯予防に用いるフッ素はどこが違うのですか?
    • 公害のフッ素」と「虫歯予防のフッ素」とでは、その性質も全く異なります。同じ元素でも、むすびつくものによって、すなわち化合物によって、その性質は全く異なったものとなるのです。(注) 公害のフッ素は、アルミニウム精錬工場などから排出される強酸のフッ化水素(HF)などですが、虫歯予防のフッ素は、一般にフッ化ナトリウム(NaF)等が用いられます。

      注:化合物の違いを塩素とフッ素を例に取り、比べてみましょう。
         <危険>       <安全>
      HCl(塩酸)  ←→ NaCl(食塩)
      HF(フッ化水素)←→ NaF(フッ化ナトリウム)
         「公害」      「虫歯予防」

  • フッ素をとりすぎた場合、どんな害がありますか?
    • どんなに安全と思われている物質でも、量が過ぎれば害を生じます。 フッ素も同様で、適量ではむし歯予防に役だちますが、過量に摂取すると害(中毒)を生じます。このフっ素の有害作用は、次の2つに分けられます。

      ・慢性中毒 :長年にわたって飲料水から,過量のフッ素を摂取した時生じるもので、斑状歯と骨硬化症の2つがあります。 斑状歯は、適量の2~3倍以上の量のフッ素を、顎の骨の中で歯が作られている時期に継続して摂取した場合に生じる可能性があります。 また、骨硬化症は適量の10倍以上のフッ素を、数十年以上摂取し続けた場合に起こることがあります。 ただし、両方ともフッ素洗口やフッ素塗布など虫歯予防のための正しい使用法の範囲内では決して起こりません

      ・急性中毒 :一度に多量のフッ素を摂取した時に生じるもめで、吐き気、嘔吐、腹部不快感などの症状を生じます。 フッ素の急性中毒量は、体重1kgあたりフッ素として2mgです。 たとえば、体重20kgのお子さんでは40mgのフッ素で急性中毒を生じることになります。

  • 三歳児歯科検診で幸いむし歯はありませんでしたが、「今後の予防のためにもフッ素は利用した方がよいですよ」といわれました。どの様な方法があるのですか?
    • 3歳までむし歯をつくらずに育てられたとのこと、良かったですね。 ただし、これからはお子さんの食生活の幅も広がり、むし歯になる危険性もやや高くなりうる年齢にさしかかかったとも考えられます。

      今後もむし歯をつくらずにすむよう予防手段のひとつとして、フッ素(フッ化物)を利用することはとても良いことですね。

      フッ素による予防法の仕組みは、おおまかにいいますと歯の表面に薬物を作用させることにより、歯の表面の歯質をむし歯に犯されにくい構造に変化させようというものです。また、フッ化物の種類によっては、むし歯の原因菌に対して殺菌的な作用を持つものもあり、この場合は、二重の効果が期待できるといえるでしょう。 歯科医院と家庭でできることに分けて説明しましょう。

      まず、歯科医院で行う方法としては、「フッ化物歯面塗布法」があげられます。これは、歯科医師、歯科衛生士の専門家が行うもので、塗布する方法や薬剤の種類にも多少のバリエーションがあります。

      回数は、塗布法や、お子さんの年齢、お口の状態などによっても変わるのが実際ですが、年に数回塗布することが望ましい場合が多いと考えられます。詳しくは歯科医院で直接ご相談下さい。 次に、家庭で行える方法ですが、以下の3つの方法があります。

      1)フッ素配合歯磨き剤
      これは、毎日の歯磨きの時にフッ素人りの歯磨き剤を使用することです。フッ素配合かどうかは、薬用成分として、'フッ化ナトリウム配合“MFP(モノフルオロリン酸ナトリウム)配合"などの表示がありますので、それで判断できるかと思います。最近では、パッケージの目立つ部分にフッ素配合と記載されているものも増えてきています。

      2)フッ素イオンスプレー
      フッ素溶液を直接、歯に噴霧するスプレータイプのフッ素製剤です。歯磨きの後に、2~3回噴霧し、30分ぐらいは、飲食、うがいなどをひかえるようにするのが効果を高めるポイントでしょう。 薬局などで、購入可能です。

      3)フッ化物洗口法
      フッ素溶液を口に含み、約1分間ブクブクした後に吐き出す方法です。これも、実施後30分程度、飲食、うがいをひかえることが大切です。 ただし、3歳以下の幼児の場合、うがいの後に吐き出すことが上手にできない場合がありますので、4~5歳程度から保護者のつきそいのもとに行うほうが望ましいと思われます。 薬局で購入可能です。

  • プラーク(歯垢)とはどの様なものですか?
    • プラーク(歯垢)は、もともと口の中にいる細菌が、歯の表面(特に、歯の間や歯と歯ぐきの間)に残った食べカスなどをエネルギー源として、どんどんその数を増やし、同時に砂糖などの物質から「デキストラン」と呼ばれる非常にねばねばした歯につきやすいのりのような物質をつくりだし、歯にべっとりとへばりついたものです。

      プラークには、虫歯の原因となるミュータンス菌、歯周病の原因となる菌(ポルフィロモナス・ジンジバーリスなど)の他にもいろいろの細菌がいて、全部で約400種類もの細菌がいるといわれています。

      これらは、たいへんネバネバしていて、うがいだけでは落とすことができませんので、ブラッシングが必要となるわけです。ブラッシングでプラークを除くことをプラーク・コントロールと言います。

こどもの歯

  • ぶつけて歯が抜けてしまいました。どうすればいいのですか?
    • とにかく、できるだけ早く歯科医院を受診してください。歯が抜けた、折れた、ずれた、埋まったなど、歯の外傷には様々なパターンがありますが、いずれにせよ、早めに診察と適切な処置を受けましょう。 特に、歯が完全に抜けてしまった時は、一大事。うまくいけば、ほぼ元のようにくっつく可能性はありますが、これは時間との勝負です。 多少汚れていても下手に水洗いせずに、また、歯の根の部分を乾燥させぬようパックの牛乳の中にそのまま浸して持参して下さい(ヒトの体液に浸透圧が近いため、手に入れば生理食塩水が最も良い)。 牛乳などが手に入らない時は、きれいな水でつくったごく薄い塩水を利用、どうしようもない時は、本人の口の中(舌の下や頬の裏)に入れる方法もありますが、小児では誤飲の危険もありますので注意しましょう。 まず、かかりつけ歯科医や最寄りの歯科医院に電話をして指示を仰ぐことも肝要でしょう。

  • 子供に指しゃぶりの癖があり、なかなか治りません。歯に何か影警があるでしょうか?
    • 指しゃぶりは、乳児では一般的にみられる生埋的な習慣の一つです。 通常は、2~3才頃にば減少する傾向があり、5才までには、ほぼ消矢する傾向があります。 指しゃぷりは、単純に悪い癖と決めつけて、無理やりやめさせようとする対応がが最も良くありません。かといって安易に放置しますと、歯並ぴや咬み合わせなどに影響(注)を及ぼしてしまう可能性があります。 各年齢によって、また、夜間の就寝時のみに行うのか、日中も頻繁に行うのかなどによって対応は異なりますので、心配な場合は小児歯科などの歯科医療機関にご相談ください。

      注.奥歯を噛んだ状態でも、前歯が噛み合わない開咬という状態の歯並びや上の歯が出っぱる、上顎前突という状態になる場合があるといわれています。

  • 小学生の子供が、事故で前歯をぶつけ、1本だめになってしましました。どのような対応方法が考えられますか?心配です!
    • 事故で歯を失われてしまい、さぞ、お困りの事と思います。写真1のように、まだ発達途上の年齢で歯を喪失してしまった場合は、成人の場合とは異なり、対処する方法を選択する際、顎や歯列の成長発育を障がいしにくい方法を選ばなければなりません。

      このような前歯1歯の欠損の場合、成人では、いくつかの方法が考えられますが(ここではその詳細の説明は省略します)、中学生以下の年齢ですと、周囲の歯列の発育を障がいせぬよう、取り外し可能な義歯(いわゆる入れ歯)によって失われた歯を補ってあげる方法が妥当と考えられます。(写真2)

      顎や歯列は発育とともに、変化いたしますので定期的に調整、修理や再製作は必要となるでしょう。  異物感がありそうで、心配かもしれませんが、子供は適応能力が優れておりますので、すぐに慣れて使いこなせるのが通常です。 成人に達すれば、固定式の装着感に優れた方法を選択することは可能となりますので、お子様自身にもよく説明の上、かかりつけの歯科医師にできるだけ早くご相談ください。

      歯を喪失したままの状態が長期間におよびますと、周囲の歯が移動して、歯列として好ましくない状態におちいる可能性も考えられます。 なお、すべてのケースにあてはまるわけではありませんが、もともと歯並びや咬み合わせに問題があり、歯列矯正をうける必要がある場合、失った歯のスペースを歯の移動によって閉じてしまうようにすることも可能なことがあります。(写真3治療前、写真4治療後)

  • 学校歯科検診の結果のお知らせでCO(要観察歯)の欄に有となっています。これはどういうことですか?
    • 要観察歯、CO(シーオー、caries observation)またはむし歯になりそうな歯があります。という結果がお知らせに記載してあることがあります。これは直ちに処置を要するようなむし歯による歯の穴はないがこのままでは確実にむし歯になりますよ。という歯があるということです。 一般にむし歯は出来てしまったら自然には治らないとされています。しかしごく初期の段階では適切なハミガキによる清掃やフッ素塗布などにより, むし歯への進行を遅らせ、齲蝕から守ることが出来ます。 ただむし歯と健全な歯との境界の状態ですから診断がむずかしい一面もあります。ですから痛みがないから、むし歯と判定されなかったからといって放置せず歯科医院で精査されることをぜひお勧めします。その結果、先生の判断でむし歯として治療されることを勧められることも有るかも知れません。ただその場合でも初期のむし歯として簡単な処置で終わると思います。

  • 子供が1歳6月検診で哺乳ビン齲蝕だと先生に言われました。なんのことですか?
    • 哺乳ビン齲蝕とは、離乳する年齢に達しているのになかなか哺乳ビンを手放せない乳児にみられる多発性のムシバの俗称です。歯と歯ぐきの境の部分にできることが多いようです。 なぜこのようになりやすいかというと哺乳ビンはオッパイに比べて吸う力がいらないため口腔の筋肉をあまり使わなくても飲むことが出来ます。そのため脳への刺激が少なく唾液の分泌が減るため唾液による自浄作用が働きにくくなります。 そして長時間、たとえ低濃度とはいえ口腔内に糖分が貯留するためムシバがたいへんできやすい環境となりたくさんのムシ歯が出来ます。とくに子供を寝かしつけるためなどに哺乳ビンにジュースや乳酸飲料をいれて寝る前に与える場合がありますがあっという間にムシバになります。 離乳の時期がきたなら積極的に離乳をはかること、就寝前にはできるだけ哺乳ビンでの授乳をさけることなどが大切です。

  • 7才の男のです。上の前歯が永久歯に萌え変わったのですが、気がついたら、その裏側に尖った歯のようなものがあるようです。これは何でしょうか。
    • お話からすると、お子様のお口の中は、写真のような状態となっているようですね(写真1)。これは過剰歯といって、通常の歯以外に余計な歯が顎の中で作られ、それが萌えて顔を出したものと考えられます。お子様のケースのように前歯の真ん中の部分にある場合は正中過剰歯と呼ばれます。歯としては、永久歯の一種として分類されることが多いのですが、咬み合わせの障がいを起こしたり、前歯のすき間の原因になったりするため、抜歯が必要となる場合が大部分です。正中過剰歯は口の中に顔を出さず、顎の中に埋まったまま周囲の歯並びの障がいになったりする場合もあります(写真2,3)。

      お子様の場合、まず、過剰歯かどうか診断するため、歯科医院でレントゲン診査を含めた診察をお受けになられることをお勧めします。その上で、対処法を歯科医師とご相談下さい。

入れ歯

  • 歯が1本、ダメになり抜歯しました。両脇の歯は問題がないとの説明を受けました。ここに歯を入れるべきでしょうか?それから歯を入れるとしたら保険の範囲ではどんな方法があるのでしょうか?
    • やはり、そこには何らかのカタチで歯を入れないと両脇の歯が欠損してる部位に傾いてきたり、対合する歯が動いてきたりして咬合が狂ったり、歯の接触点が変わってムシバや歯周病にもなりやすい環境にもなりかねません。ですから早めにお作りすることをお勧めします。

      保険の範囲では可撤式義歯という両脇の歯にバネでかける方法で、長所として歯をほとんど削らなくてもよくはずして磨ける。欠点としてしっくり噛みにくい、邪魔である。それに対しブリッチというのは長所が取り外しの必要が無く自分の歯のように噛めるということ、短所は両脇の歯が健康であっても削らなくてはならなく場合によっては神経を取る場合もあるということです。

      いずれにしましても歯の無くなったところにはどちらかの方法で歯をいれたほうがいいです。

  • 最近、保険の入れ歯を人れたのでずが、どうも具合が良くありません。そこで、新しく入れ歯を作りなおしたいのですが、何か問題があるでしょうか?
    • 健康保険制度では、義歯(入れ歯)を新しくつくりなおすにあたっては、以前の義歯の装着後、6ヶ月間は保険によって同じ部位の義歯を作成することはできないことになっております。

      義歯の具合が良くないとのことですが、調整はうけられたのでしょうか? 装着後ただちに何の問題もない場合もときにはありますが、多くは入れ歯を生体に調和させるために、数回の調整は必要です。主治医にどのように具合が悪いかをよく相談の上、調整を受けられることをお勧めします。

  • 金属が裏板の義歯と保険の義歯ではどのような違いがあるのでしょうか?
    • 保険の総義歯は裏板がレジンと呼ばれるプラスチックとなるためどうしても割れにくくするため厚みが必要になります。患者さんによってはそれが発音障がいで悩んだりする場合があります。その裏板を金属にすることにより、プラスチックの義歯とは異なり丈夫で変形しにくく、かつ薄くなるわけですから発音障がいが軽減され食べ物の温度が金属を介してつたわり快適さが増します。

      また汚れが付きにくいので清掃性が良く清潔にしやすくなります。ただ原則的に保険はきかないということと、金属アレルギーのある患者さんはそれに反応する金属は使えなくなるのが欠点です。

  • 「入れ歯」の手入れはどの様にするのですか?
    • ・入れ歯の洗い方は?

      1)はじめに流水(蛇口から流し続けている水)で歯ブラシなどを使って水洗いをしてください。このとき、頑固にこびりついている汚れはその部分だけ歯磨き粉をつけて洗ってください。(普段洗うときは、歯磨き粉は使わなくていいです) 部分入れ歯などは、バネ(クラスプ)の部分に汚れがたまりやすいので、小さい歯ブラシなどを使って洗うとよいでしょう。

      2)次にお湯を用意してください。お湯の温度は70~80度くらいがいいですが、72~3度がよいです。このお湯の中に、入れ歯を約1分入れます。これで入れ歯についている「ばい菌」や「ぬめり」「臭い」をとります。このとき、入れ歯を80度以上のお湯に入れたり、2分以上お湯につけておいてはいけません。入れ歯が壊れる原因となります。

      ・入れ歯は寝るときどうするの?

      入れ歯は寝るときにはずして、水の中にいれて保管しましょう。(水の中に入れる前は必ず洗いましょう)乾燥しやすい季節では、空気中に出しておくとひび割れの原因となることがあるので気をつけましょう。 また、入れ歯によっては口の中にいれたままにする特殊な入れ歯もあるので、「この入れ歯、寝るときどうするの?」と必ず歯医者さんに確認をとってください。

      ・よく薬局で売っている入れ歯洗浄剤はつかっていいの?

      いいです。ただし一日に何度も使ったり、長い時間つけておいたりすると、入れ歯の色が薄くなってきたりします。ですから、上に書いた洗い方をしていれば、3~5日おきに一度の洗浄剤で大丈夫です。

      入れ歯となかよくつきあっていきましょう。

歯ならび

  • どうして歯ならびや咬み合わせの問題が起こるのですか?
    • 遺伝的要因と後天的要因の2つがあります。 親子の顔が似るように、例えば下あごが突き出た親の子供は、やはり受け口になりやすく、歯が非常に大きく乱ぐい歯の親の子供も、乱ぐい歯になりやすくなります。 後天的要困としては、乳歯が虫歯で無くなると、後ろの永久歯が前方に寄ってきて中間の永久歯がはえる隙間がなくなり乱れます。

      指しゃぶりをいつまでもやめないでいると、歯が咬み合わない開咬となります。 これら以外にも、歯ならびや咬み合わせが悪くなる要素は色々あります。

  • 歯ならびの問題にはどのようなものがありますか?
    • 歯ならびの問題には、1本1本の歯の位置と状態の問題や、上と下の歯並びの前後的、上下的、左右的位置関係の問題があります。 代表的な歯並びの問題を以下に列挙します。

      叢生(そうせい)

      全部の歯が並びきらずに、がたがたの状態の歯ならび。一般的に乱ぐい歯(らんぐいば)とも言います。糸切り歯が飛び出している場合は八重歯(やえば)とも言います。

      上顎前突(じょうがくぜんとつ)

      上の前歯が飛び出している歯ならび。…般的に出っ歯(でっぱ)とも言います。

      下顎前突(かがくぜんとつ)

      上と下の歯の咬み合わせが逆になっている歯ならび。受け口(うけくち)もしくは反対咬合(はんたいこうごう)とも言います。

      開咬(かいこう)

      咬み合わせをした時、上と下の歯の間に隙間がある歯ならび。

  • なぜ矯正治療が必要なのですか?
    • 歯ならびが悪いと、きれいに歯が磨けないために、虫歯になったり、歯周病にかかりやすくなり、歯が早く抜ける原因となります。

      食べ物がうまく咬みくだけないので、胃腸に負担がかかりやすくなります。 また、咬み合わせが悪いと、顎(あご)の発育に影響を及ぼし、顔が歪む場合もあります。それに審美的にも劣等感を抱きやすくなります。

  • 矯正治療はどのようなことをするのですか? また通院期間は?
    • 矯正治療の進め方は通常以下のようになります。

      ●初診相談

      初めて来院された患者さんに対して、悩みや気にされているところを伺い、顔や口の中を診査します。その上で、気が付いたことや問題点、治療の一般的な話や諸注意などについてお話します。納得していただければ検査の予約となります。

      ●精密検査

      矯正治療に先立ち、歯列模型、顔や口の中の写真、顎や歯そして矯正用の特殊な顔のレントゲン写真などを撮ります。必要に応じてその他の資料を採ります。

      ●診断結果と治療方針の説明

      資料を分析し、総合的に診断した結果の説明を行います。その上で問題点を挙げいつ頃から、何を目標に、どうやって治療していくのかといった治療計画についてお話します。また、治療費についても十分な説明をします

      ●ブラッシング練習

      口の中をいつも衛生的に保つことはとても大事なことです。虫歯や歯肉炎にならないように教わった方法できちんと磨きましょう。特に小さなお子さんの場合はお家の方の協力が不可欠です。

      ●装置装着・動的治療開始

      治療計画に沿って矯正渚療を始めます。装置が装着され治療がスタートすると、通院間隔は通常月1回が目安です。動的治療期間は、症例の難易度により大きく変わりますが、通常1~3年ぐらいかかります。

      ●経過.観察

      症例によっては、最適な治療開始時期まで装置を付けることをせず、経過を観ることもあります。また、第一段階の治療のあと、顎骨の成長や歯の生え代わりを観察することもあります。通常3~6ヵ月に一度程度の割合で来院していただくことになります。必要に応じ記録を採ることもあります。

      ●動的治療終了

      治療目標が達成され歯ならび・咬み含わせが良くなったところで装置を外します。

      ●保定

      矯正装置が外れた後、歯ならび・咬み合わせの安定を図るための大切なステップです。通常取り外し式の保定装置を使用します。通院間隔は2~6ヵ月に一度になります。保定期間は通常1~2年ぐらいになることが多いです。

      ●保定終了・矯正治療終了

      歯ならび・咬み合わせが安定したら治療終了です。

  • 矯正治療はいつ始めたら良いのですか?
    • 不正の状態や種類によって違いますので、一概には書けません。 反対咬合の場合等は、乳歯列の時期に治療を行う場合もあります。不正が前歯に限局している場合や、顎の成長を促したり、抑えたい場合は小学校の低・中学年に始めたほうが良いようです。 これに対して、全体の歯ならびを治すような場合には、永久歯が完成してからのほうが効率良く治療できることがあります。 このように一定ではありませんので、早めに歯科医や矯正医と相談して、開始時期について診てもらったら良いでしょう。

  • 大人でも治療できますか?
    • 大人でも十分治療が出来ます。しかしながら、子供に比べると骨が硬く、歯の移動が運くなる傾向があります。また、顎の成長を利用できませんから、矯正治療のみで歯ならびを治すことが難しくなり、顎の骨の手術が必要になることもあります。 したがって、出来るだけ若いうちに治療を始めましょう。

  • 矯正治療にはどのような装置を使いますか?
    • 矯正治療には取り外しのできる装置や、口の中に入ったままの固定式のもの等さまざまな装置が使われます。不正咬合の種類や状態により、適切な装置が選択されることになります。各々の歯にブラケットと呼ばれる小さな装置を接着し、細いワイヤ・一を用い歯を動かすマルチブラケット装置が代表的です。 反対咬合を治す時等には、チンキャップというヘルメットの様な装置(顎外固定装置)を使用して治療することもあります

  • どうして歯は動くのですか?
    • 歯は、歯槽骨という顎の骨の中の、歯根膜というたくさんの繊維により取り囲まれ支えられています。歯に矯正力が加わると、押された側の歯根膜は圧迫され、その反対側の歯根膜は伸展します。その状態がしばらく続くと、押された側の歯槽骨は吸収をおこし、なくなり始めます。反対に伸ばされた側では、新しい骨ができ始めます。そして、再び両側の歯根膜はきれいに並んできます。矯正力が持続的に歯に加わることで、歯は少しずつ歯槽骨の中を移動することになります。生体の反応を利用するため、一定の治療期間が必要となります。

  • どんな不正咬合で歯を抜く必要がありますか?
    • 永久歯の抜歯はだれでも嫌なものですが、抜歯をしないと改善しないことがあります。 乱ぐい歯がひどいのに抜歯をしないで並べると、円弧が大きくなり、歯が前に突び出し、口を結びづらくなったり、うまく咬み合わなくなります。そこで抜歯により隙間を作り、そのスペース'を利用して並べ直します。 上顎前突(上の歯がでている)や、下顎前突(下顎が出ている)の場合も、抜歯が必要になる場合があります。

  • どんな不正咬合でも矯正治療だけで治せますか?
    • 歯が並んでいる土台の顎の問題が非常に大きく、上の顎と下の顎の位置関係が極端にずれているときには、歯ならびだけの治療では咬み合わせは改善できません。顎の問題が大きいときには、顎の手術が必要です。

  • 治療期間は、どれ位かかるのでしょうか?
    • 治療期間は、治療を始める年齢、歯ならびの状態や使用する装置によって変わります。矯正装置を装着して、実際に歯ならびを治す期間は1~3年間ですが、歯ならびが治ってからきれいな歯ならびを保つための保定期間が数年必要です。子供さんの場合は、乳歯から永久歯に生え替わる時期に行う治療(第一期治療)と永久歯列の完成期に行う治療(第二期治療)の他に、顎の骨の成長と永久歯の萌出交換の観察期間が必要で、親知らず(第3大臼歯)の処置も含めて20歳ぐらいまでメインテナンスが必要です。

  • 矯正治療を始めたら、通院はどの程度の間隔ですか?
    • 矯正治療を開始する時には、患者さんに合った矯正装置を作らなければなりません。そのために通常週1回位づつ2~3回通院が必要です。その前後に歯磨きの練習をする場合もあります。 装置を装着したら、普通通院は月1回程度となりますが、場合によってはもう少し頻繁に通う場合もあります。

  • 治療費用はどれ位かかりますか?
    • 矯正治療は一部の治療を除いて保険は適用されず、基本的に自由診療となります。 治療費用は、歯ならびの状態や治療内容により異なり、また治療費用の設定、徴収方法は各歯科医院ごとに異なりますので、相談や治療計画の説明の時に納得のいくまで担当医にお尋ねください。顎の間題が大きく手術が必要な症例(外科矯正)や唇や顎の状態に生まれつき問題がある場合(口唇・口蓋裂)は保険の適用になりますが、保険診療が可能な医療機関は限定されます。尚、矯正治療は医療費控除(確定申告)の対象になることがありますので領収書は大切に保管してください。

  • 矯正治療中のブラッシングはどのようにするのですか?
    • 装置が入ると、食べかすや汚れが残りやすくなります。適切な用具を用い、教わったブラッシングをすることで、いつも口の中を衛生的に保つことがとても大切です。そうすることで、虫歯や歯肉炎を防ぐことができます。ブラッシングをして装置が壊れることはありません。教わった方法で、今まで以上にきちんと磨く習慣をつけましょう。

  • 矯正治療中の歯の痛みについて教えてください。
    • 装置を入れた時は歯に弱い力がかかりますので、歯が浮いたような感じがすることがあります。そうした不快症状は個人差が大きく、軽い痛みを感じる人もいれば、全く感じない人もいます。通常3~5日程度でおさまりますので心配いりません。 歯ぐきを指の腹でマッサージしたり、塩を入れたぬるま湯でブクブクしたりすることで楽になることが多いです。その間は軟らかいものを食べてください。

  • 矯正装置をはずしたら、矯正治療は終わりですか?
    • 矯正装置をはずすと、やっと自由になれるかと思われるかもしれませんが、そのままにしておくと歯ならびや咬み合わせは、元の状態に戻る傾向があります。それを防ぐために、矯正装置をはずしたあとリテーナー(保定装置)を使います。取り外しの可能なリテーナーの場含は、指示通り使わないと並べた歯が動いて合わなくなりますので注意してください。成長期の場合は、咬み合わせが変化しますので20歳ぐらいまで経過観察が必要です。

歯周病

  • 歯周病とは何ですか?
    • 歯周病は歯と歯肉のあいだ(歯肉縁下)に入った歯周病菌によって起こる病気です。

      歯周病菌の活動は、歯と歯肉の間の結合組織を徐々に壊し、すきま(歯周ポケット) を作ります。このとき生体の防御力(抵抗力)は、タバコやストレスなどの危険因子 によって大きく左右されます。歯周病の初期の段階が歯肉炎で、炎症が深部組織に進行したものが歯周炎です。

      歯周炎を放っておくと、歯と歯肉を結び付けている歯周靱帯(歯根膜)が壊され、そこに歯周ポケットが形成されます。続いて歯槽骨が吸収して歯はグラグラになり(歯の動揺)、さらに歯周ポケットから膿(うみ)が出るようになります。噛み合わせは出来なくなり、さらに進行してしまった歯周炎では自然に歯が抜けてしまいます。

      しかし、患者さんと歯科医師の努力によって、ある程度まで健康な状態を取りもどすことは可能です。

  • 歯周病を予防するには、どうしたらよいのでしょうか?
    • 病気を予防するにばその病気の原因を知ることが大切です。

      では、歯周病の原因は?その大きな原因の一つはプラ-ク(歯垢)です。

      歯周病のの予防は、まず、このプラ-クを確実に取り除くことです。 これらは、一般にプラークコントロールと呼ばれています。

      歯磨きや、歯科医院での歯ぐきにかくれた部分にたまったプラークの除去、さらに歯石の除去が基本的なブラ-クコントロ-ルです。 まず、あなたにできることは、あなたに合った歯磨きのしかたを身につけることが大切です。

      一度、歯科医院を受診されて、あなたの歯や歯ぐきに適した歯磨きの方法を指導してもらわれてはいかがでしょうか? また、歯周病の成り立ちには、病気の進行を早めたり、なおりにくくさせるリスクファクター(危険因子)も大いに関与しています。

      リスクファクタ-としてほ、その人の体質や、糖尿病などの全身疾患、誤った生活習慣(たばこ、慢性疲労)などが指摘されていますが、ご自分の体質や生活習慣上の問題点を自覚して、身体の抵抗力を高めることに注意を払うことも、歯周病の予防にはかかせないといえるでしょう。

  • 歯周病の予防はプラークコントロールというのは存じているのですが 実際、わたしたちが通常使用している歯ブラシの他に、補助的な清掃用具があると聞いたことがあるのですが、どのようなものがあるのですか?
    • 一般に普通の歯ブラシだけではなかなか磨けにくい所があります。それは、特に歯と歯の間(歯間部と言います)や奥歯のうしろ、などでこれらの部位には補助的な清掃用具が必要になります。 それらには以下のような種類のものがあります。

      ●歯間ブラシ・・・・・・・・・・・・歯肉を傷つけないように気をつけながら、歯と歯の間にゆっくりと回転させて差し込みます。そして歯の側面に押し当てて前後に10回くらい動かします。

      ● デンタルフロス(写真2)・・・・・歯間ブラシでは磨けない歯と歯の間にそっといれて、歯の側面にそって根元からていねいにゆっくりかきあげます。

  • 妊婦が歯周病になっていると問題になると聞いたのですが、早産する危険性が高くなるというのは本当ですか?
    • 近年、米国では中度および重度の歯周病が妊娠に与える影響はアルコールや喫煙の約2倍であるとの報告がなされました。  その理由の一とつとしては歯ぐきの炎症の蔓延によってつくられる体内の化学物質が胎盤を収縮させるために早産につながると考えられています。

      したがって、中、重度の歯周病にかかっている場合、低出生体重児を出産する危険性は、通常に比べて7倍も高くなるとされています。 歯周病は、単にお口の中の病気ではなく、全身の健康と大きく関わる疾患でもあると認識しましょう。  歯周病の症状(歯ぐきからの出血や膿み、歯ぐきがブヨブヨと腫れた感じ、口臭など)がいくつかあり、すでに、妊娠されておられるようでしたら、妊娠中でも歯周病の治療は可能ですので、歯科医にご相談ください。

  • 歯周病は定期検診を受けないと再発してしまうのですか?
    • 歯周病は、一応の治療が終わってからの毎日のアフタ-ケアがかんじんです。 その人が歯周病に対してどの程度のリスクファクタ-(危険因子:注)を持っているかによって、再発の危険性ほ異なりますが、冶癒したからと安心しては元のもくあみとなってしまうかもしれません。

      せっかく回複したの中の健康をずっと維持するためには、ご自分の手による毎日のプラ-クコントロ-ルはもちろんのこと、専門家による定期的なチェックは必要といえるでしょう。

      治療が終わっても、あなたと歯科医師、歯科衛生士が二人三脚、三人四脚の歩みを続けることが、歯周病によって歯を失わないための一里塚なのです

      注=歯周病の直接的な原因は、歯垢、歯石すなわち細菌ですが、間接的に病気の発症に影響を与える因子があります。これを、リスクファクタ-(危険因子)といい、適合の悪い冠やつめもの、口呼吸癖、歯ぎしりやくいしぱり癖、悪い咬み合わせ、喫煙習慣、糖尿病などの全身疾患が考えられています。

歯とからだ

  • 妊娠中でも、歯科の治療は受けられるのですか?
    • 妊振中でも、ほとんどの歯科治療は可能な場合が多いといえるでしょう。ただし、歯の麻酔などを使用する処置は妊娠5カ月を過ぎた安定期と呼ぱれる時期が望ましいと考えられています。 いずれにしましても、妊振中の状態や体調などによって個人差があるため、できれぱ、歯の治療にあたっては、必ずかかりつけの産婦人科の先生に相談されてから、歯科を受診されることをおすすめ致します。 ただ、歯の急性症状(ズキズキする、ぴどく腫れたなど)が生じてしまった場合は、麻酔を必要とするケ-スが多く、また薬の服用をどうするかなど、一考を要することも多いため.妊娠の予定が考えられる時は、胎児の健やかな発育のためにもあらかじめ、すぺての歯をきちんと治療しておかれることが望ましいのではないでしょうか。
  • 高血圧のために薬を服用しています。歯の治療は大丈夫ですか?
    •  高血圧の薬を正しく服用して、血圧が安定しているのであれば、歯の治療は問題ありません。しかし、薬を飲み始めたばかりであったり、飲み忘れがあったり、勝手に薬を減らしたりしている場合は、血圧が安定していないので、歯の治療は応急治療にとどまることがあります。また、脳、心臓、腎臓に合併症がある場合には、治療方法を歯科医師とよく相談して下さい。 治療の前には、最近計った血圧の数値、最近の血圧は安定しているか、いつから血圧の薬を飲んでいるかを歯科医師に告げて下さい。また、薬といっしょに薬局から渡される薬の説明書を持参して見せていただくと大変参考になります。 治療にあたっては、午後に比べると午前の方が血圧は安定していますので、治療の予約は午前中が望ましいです。 治療後、血圧の薬を飲んでいる患者さんは、治療椅子から急に起きると、めまいやふらつきが起こることがありますので、ゆっくり治療椅子から立ち上がってください。

その他

  • 唇に半円形のふくらみが出来て、つぷれたりできたりを繰り返しています。これはどの様なものなのですか?
    • 最も考えられるのは、粘液のう胞という疾患です。 唇の中にある小さな唾液腺の一部がこわれて、小さな水ぷくれのような状態をつくるのです, つぷれると引っ込みますが、また、ふくれて繰り返すことがほとんどですので歯科医院で、診察を受け、摘出すぺきかどうか、ご相談下さい。

  • 8020運動とは何ですか?
    • 人間は32本(現代人は親知らずの有無により28~32本)の健康な歯を有するのが本来の姿ですが、生活習慣病としての「むし歯」や「歯周病」などの疾患、そして「歯の外傷」などの様々な原因により、我々現代人は歯を、次第に失なっていくのが現実といえるでしょう。 失った歯の本数が増えてくると、食べる能力が低下するぱかりでなく、体全体に対して様々な影響を与えることを通じて、その人の「生活の質」をも左右すると考えられています。 極言すれば、寿命そのものにも影響するといっても良いかもしれません。 そのため、「いつまでも快適な生活を」を目的として、80才で20本以上の歯を残すという国民の成人歯科保健対策の目標値が平成元年に厚生省(現厚生労働省)において設定されました。 その後、平成4年から、日本歯科医師会も協力して全国的に行っている歯科保健のための啓蒙活動を『8020運動』と呼んでいます。

  • 上顎の真ん中あたりに、硬いでっぱりができています。病気なのかどうか気になります!
    • おそらく、それは口蓋隆起と思われます。口蓋隆起は、上顎の中央部で左右ほぼ対称形に半球状または結節状に、骨が増殖し盛り上がったものをいいます。これは、いわゆる腫瘍のような病気とは考えられていません。 また、同じような、骨のでっぱりは、下顎の犬歯のやや後ろの内側にもできることがあります(下顎隆起といいます)。 いずれも、義歯(入れ歯)の装着などに際してじゃまになるようなケース以外は、放置しておいても差支えないといわれています。 ただし、急激に盛り上がりを生じた場合や、でっぱりが柔らかいなどの場合は、他の疾患も考えられますので、歯科医、口腔外科医にご相談下さい。

  • お口の中にある小帯とは、何ですか?歯科医院で小帯の異常があるので切除したほうが良いといわれましたが?
    • 歯ぐきと、口唇または舌の間についている薄い「すじ」または「ひも」のようなもので,本来、誰にでもあるものです。

      上の前歯の歯ぐきと口唇の間にあるものを上唇小帯
      下の前歯の歯ぐきと口唇の間にあるものを下唇小帯
      上下の奥歯の歯ぐきと口唇、頬の間にあるのが頬小帯
      下の前歯の歯ぐきと舌の間にあるものを舌小帯 とよんでいます。

      小帯の大きさや長さが正常であれば、通常、切除の必要はもちろんありません。ただし、下記のようなケースでは、切除や整形などの形成外科的な対応が必要な場合が考えられます。

      1)舌小帯の異常により、舌の運動が制限され、明らかな発音機能の障がいが生じている場合。(舌小帯の異常例、写真1)

      2)歯周病に犯されている歯の部分の小帯が、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目ぎりぎりまで延びているため、うまく歯みがきができない、または歯ぐきの抵抗力を下げるような形になっており、そのままでは歯周病のコントロールが難しい場合。

      3)明らかに、歯の隙間の原因となっている場合。
      (上唇小帯の異常例、写真2)

      4)義歯をいれる場合に、小帯が著しく障がいとなっている場合。

      ご相談のケースが、どのような状態なのかはわかりませんが、いずれの場合も、歯科医師による専門的な判断が必要となりますので、状況をよく説明いただいた上で対応をお決めになることをお勧め致します。

  • 唾液を作る所にも石ができると聞きましたが、どのようなものですか?
    • 口の中に唾液が出てくるのは、唾液線という組織で唾液が作られてるからです。その量は成人では一日1~1.5リットルにも及び、ほぼ一日の尿量に匹敵します。唾液腺には、小唾液腺と大唾液腺の2種類があり、小唾液腺は唇、頬、上顎など粘膜のいたるところに存在します。一方、大唾液腺はその存在場所によって耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つに分けられ、最も大きいとされる耳下腺の大きさは鶏卵ほどもあります。これらの唾液腺から導管と呼ばれる管を通って口の中に唾液がでてくるのですが、その導管の途中や、唾液腺の本体(腺体)内に石ができたものを唾石(唾石症)といいます。

      唾石は、唾液中のカルシウムなどの無機質が固まってできたものですが、特に、顎下腺の導管や腺体内にできることが多いといわれています。小さなものでは、症状が全くない場合もありますが、導管内にできた場合は自然排出されるか、排出されないものは次第に大きさを増してやがて症状が出てくるようになります。

      唾石症の特徴的な症状として、唾疝痛があります。これは食事の際に出現する痛みで、食事によって唾液の分泌が促されたのに、唾石がその排出を妨げ、唾液腺内の圧力が高くなるために発現するものです。また、感染を引きおこした場合には持続的な痛みや、導管からの排膿を生じることもあります。

      対処法としては、何もせず経過をみていく場合もありますが、臨床症状が明らかな場合は、通常摘出術が行われます。導管内の唾石では口の中からの処置が可能な場合が多いようですが、唾液腺本体内の唾石の場合は、体表からのアプローチが必要な場合もあります。予後は良好であるとされ、再発はまれといわれています。現在のところ、予防法というものはありませんが、異常を感じたら、早期に受診し、歯科医、口腔外科医に診断を仰ぐことをお勧めします。

  • 親知らずを抜きましょうといわれました。できれば抜きたくないのですが?
    • 親知らずというのは俗称で、正しくは第三大臼歯といいます。中央の前歯から数えて8番目(通常最も奥)の歯がこれにあたります。 親が子供の口の中などあまりのぞかなくなる年齢(17~18才以降)になってから萌えてくるため、この名前で呼ばれているようです。 親知らずでも、顎の発育が良好なため、親知らずどうしがきちんとまっすぐに噛み合っており、むし歯などに犯されていなければもちろん抜く必要など無いでしょう。 しかし、現代人は、大半の人が顎の発育が不十分なため、最後にはえてくるこの歯'が並ぶスペースがないの現状です。すなわち、大半の親知らずは、歯として正常に機能しえないため、顎の中で、「よけいなお荷物」状態になってしまいやすいのです。

      1)親知らずが、歯ぐきの中に埋まっていて、そこの歯ぐきが腫れてしまう原因とな っている場合。

      それでは、親知らずを抜かざるをえない、または、抜いたほうが良い場合を、考えてみましょう。 一般的に次のようなケースが考えられます。

      1)親知らずが、歯ぐきの中に埋まっていて、そこの歯ぐきが腫れてしまう原因となっている場合。

      2)顎の中で横向きにはえたような状態で、ひとつ前の歯の歯根にむし歯をつくってしまう可能性が高い場合。

      3)ひとつ前の歯のむし歯治療や歯周病治療を行ううえで、親知らずの存在が、明らかに障がいとなっている場合。

      4)正常ではないはえかたのため、頬や歯ぐきに繰り返し、損傷をあたえてしまう場合。

      5)親知らず自体が重症のむし歯や歯周病になり、保存して治療することが困難と思われる場合。

      6)矯正治療上、親知らずの抜歯が必要と判断された場合。

      7)顎に発生する腫瘍などに接していたり、その原因になっている場合。

      まだ、他にも考えられますが、概ねこのような理由が多いと思われます。 あなたの場合どのケースにあてはまるのでしょうか?

      歯を抜くという行為は、できるだけ避けたいとおもうのは当然のことですが、歯科医師は、他の選択肢(例えば放置するなど)よりも、抜歯という方針が、患者さんにとって最終的に有益であると判断したからこそ、.抜歯をお勧めするわけです。 主治医の先生ともよくご相談の上、前向きにご検討下さい。

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